こんにちは。hiroです。
「公務員 年収」と検索してこのブログに来てくださった方が意外と多いようです。ありがとうございます。
今回は、地方公務員の給料・年収とワークライフバランスについてです。
若手公務員は給料が安いと言ってきましたが、実際どれくらい貰っているのでしょうか?
「安い給料でも仕事が楽ならよくない?」と考える方もいるでしょう。
地方公務員は楽と世間一般に思われているでしょうが、実際のところどんな感じなのかを書いていきます。
※今回の記事は、地方公務員のやりがいには全くフォーカスしていませんので、ご容赦ください。
若手地方公務員の年収は安いのか?
地方公務員の平均年収については、別記事で紹介していますが、概算で6,247,503円(※平均年齢は41.8歳)となっています。
【別記事リンク】「公務員の給料・年収は?転職すると生涯年収はどうなる?」
結構貰っているように感じると思いますが、平均年齢が41.8歳なので、就活中の学生からするとイメージが湧かないと思います。
では、年齢別の年収はどうなっているか見てみましょう。
地方公務員の年齢別年収推移
文字で表現するよりはグラフで見た方が分かりやすいと思いますので、以下をご覧ください。(国家公務員は今回作成していません)
※総務省の「地方公務員給与の実態:平成29年4月1日地方公務員給与実態調査結果」から作成
単純な計算ロジックで作成したものですが、実感ベースで概ね近い金額になっていると思います。
※期末勤勉手当(ボーナス)の地域手当は5%、役職段階別加算を5-15%で年齢区分別に適当に割り振って算出しています。
20代地方公務員の平均年収は360-470万円です。(1年目はボーナスが半分程度しか貰えないので、実際のところ360万円も貰えません)
ただ公務員の強みとして、給与が年々着実に増加していることがわかります。
4年ごとに50万円程度昇給していますので、1年当たり大体12.5万円年収が増加すると考えてください。
額面30万円に達するのが、28-31の時です。手取りで23万円くらいでしょうか。
正直なところ、倍率の高い公務員試験を突破した割に、そこまで高給を貰っているわけではないと思います。若手のうちは尚更です。若手の薄給時代を乗り越えた後、40代以降に回収していくイメージですね。
まあ、公務員は仕事量が人によって違いすぎるので、一概に貰いすぎ、少なすぎという議論は難しいのですが…。私がいた自治体でも、この職員は担当している仕事に対して明らかに貰いすぎだ、という人は何人かいました。
ちなみに50代で部長級まで出世していたら1,000万円くらいには上がると思います。あくまで平均なので。ただ、部長級まで出世する方は割に合わないです。私の経験上、ハードワーカーでない部長級の方を知りません。
30過ぎ~40代半ばまでの昇給が大きい
30過ぎで主任に昇格、40代で係長に昇格とどんどん役職が上がっていくので、年齢が32-43の間で給与の増加額が大きくなっています。
お金の面だけで考えた場合、年収が増加していく30過ぎになって、公務員が転職するメリットは薄いです。
主任から係長までは、よほどのことがない限り誰もが昇格できます。仮に主任のまま昇格しないとしても、毎年昇給はしていくので、ある程度の収入は得られます。ここは民間と違って、ある意味保障されていると言えるかもしれません。
【参考:年齢別給料・諸手当等一覧(単位:円)】
年齢区分 | 給料月額 | 諸手当月額 | 給与月額 | ボーナス | 想定年収 |
20-23 | 184,501 | 43,756 | 228,257 | 862,080 | 3,601,164 |
24-27 | 203,104 | 62,755 | 265,859 | 949,003 | 4,139,311 |
28-31 | 229,482 | 72,966 | 302,448 | 1,072,254 | 4,701,630 |
32-35 | 261,306 | 82,129 | 343,435 | 1,281,999 | 5,403,219 |
36-39 | 300,271 | 87,509 | 387,780 | 1,473,167 | 6,126,527 |
40-43 | 339,632 | 91,524 | 431,156 | 1,666,277 | 6,840,149 |
44-47 | 369,544 | 94,892 | 464,436 | 1,899,363 | 7,472,595 |
48-51 | 389,992 | 99,402 | 489,394 | 2,004,461 | 7,877,189 |
52-55 | 407,712 | 102,212 | 509,924 | 2,190,789 | 8,309,877 |
56-59 | 423,361 | 105,165 | 528,526 | 2,274,877 | 8,617,189 |
※総務省の「地方公務員給与の実態:平成29年4月1日地方公務員給与実態調査結果」から作成
地方公務員のワークライフバランスはどうなのか?
ここまで地方公務員の給料を見てきましたが、どの程度の業務量があるのでしょうか?
業務量が膨大で上記の年収だとすると、そこまで割に合うわけでもないですよね。
私の実感ベースですが、地方公務員のワークライフバランスについて書いていきます。
部署と人によるが、全体として長時間残業するような環境ではない
結論としては、部署と人によりますが、全体的にはバランスが取れていると思います。
ブラックな部署は本当にブラックです。極端に違います。
簡単に言えば、100の仕事する人がいて、10しか仕事をしない人もいるが、給与はほぼ同じ。これが地方公務員です。
給与で違いが出てくるのは40代くらいからでしょうか。
花形部署への異動など出世コースに関しては20代・30代から違いが出ていますが、年収的には大して変わりません。
単純な労働単価で考えたら、冗談ではなく仕事を頑張るだけ損をする仕組みになっています。(仕事はお金だけではないので、働いている人はそこまで気にしてませんが、ここに不満を感じる方はどうにもなりません)
人によっては毎日定時で有給休暇も全て取得、一方で繁忙期は土日もなく、年末年始も数日しか休みを取れないような人もいます。ただ、全体的に見た場合は、残業1-2時間くらいで帰宅でき、十分に自由な時間が取れる環境だと思います。
出先機関だと毎日定時上がりも可能です。土日もしっかり休めます。
ただし、近年は働き方改革で改善されてきていますが、忙しい部署(財政課など)に配属されてしまうとワークライフバランスは非常に悪いです。
私が忙しかった頃は、毎朝7時に登庁し、深夜2時に帰るという生活が2ヶ月続きました。
しかも、残業代は割り振られた予算分しか出ませんのでサービス残業です。まあ好きでやっていたからいいんですけどね。単純な仕事時間としては、コンサルよりその頃の方が長かったです。
忙しい部署でそれなりに仕事をしてしまうと、こいつは激務に耐性があるから大丈夫と判断され、比較的忙しい部署ばかりに異動する可能性が高くなります。
就活生や転職を検討されている方は、地方公務員が世間一般で考えているような楽な職場ばかりではないことを認識しておいた方が良いです。
精神的なプレッシャーは少ない
民間と一番異なる部分としては、精神的なプレッシャーが非常に少ないことでしょうか。
ノルマもありませんし、期日に追われることもそこまでありません。役所の期日って相当緩いですからね。
勿論、上司が部下を詰める文化もありません。前職にもよりますが、それだけでも人によっては楽なのかもしれませんね。
仮に人間関係が上手くいかなくても、3-4年もすれば異動できますし、強い希望を出せば1-2年でも異動できます。
どんな人にメリットがあるの?
単純なメリットだけで公務員を選択してほしいとは思いませんが、以下の方にはメリットがある職場だと思います。
「仕事は生活のため、と完全に割り切っている方」
「民間で成果を出し続ける自信がない方」
「仕事とプライベートにバランス良く時間を使いたい方」
公務員は基本的に首になることはありませんし、一定以上の役職まではほぼ一律で昇格します。
出世の早い方と遅い方で多少の差はでますが、係長くらいまではほとんど変わりません。それ以降は結構差が出てきますが、係長に達すれば年収600万円は超えていますし、最終的に700-800万円くらいには達するでしょう。
何度か忙しい部署に配属されることはあるでしょうが、全体的なワークライフバランスは良いと思います。
仕事ができると損をする?
逆に、仕事ができる方はメリットが薄いです。
本庁の経営管理や企画部門に配属されたら、業務量に対する給与は割に合わないと思います。
一度でも上記のような中枢部署に配属されたら、基本的に忙しい部署を回り続けます。恐らく、民間にいたらもっと稼げる人が多いでしょう。
公務員は仕事のできる人が仕事のできない(やらない)人の分まで働いて、給与はみんな同じように貰うシステムになっています。
その代わり、仕事ができる方は出世していきます。ある程度までは仕事ができれば出世しますが、最終的には首長などの意向が入るので運の要素もあります。
出世を目標にすべきかどうか、はその人の考え方にもよるのですが、モチベーションの一つにはなると思います。
とは言え、メリット・デメリットで判断することではありません。
給与なんて関係なしに、自分がこの自治体、この地域をより良くしていきたい、という熱意のある方ばかりだと信じています。
お金だけで良し悪しを決めるべきではないが、お金も大切
地方公務員の年収について見てきましたが、いかがだったでしょうか。
他にもローンが組みやすいといったメリットもありますが、今回は割愛します。
給与というのは就職先を決める上で重要です。
私も今の仕事を年収半分でやれと言われたら間違いなく転職すると思います。
とは言え、その職場でしかできないことがありますので、「自分は何をしたいか?」「どうありたいか?」を考えた上で職業を選択すべきです。
公務員の仕事も非常にやりがいがあります。若手の裁量も想像以上に大きいです。あくまで給与は選択基準の一つとして参考にしてください。
公務員の仕事については、別の機会に触れたいと思います。
まとめ
- 20代地方公務員の平均年収は360-470万円、年収は毎年着実に増加していくのは公務員の強み
- 30過ぎからの昇給は大きく、それ以降の転職はメリットが薄い
- 部署と人によるが、全体として長時間残業するような環境ではなく、自分の時間も十分確保でき、ワークライフバランスは良い
- ただし、仕事ができると激務部署に配属されるため、単純な労働単価は割に合わない可能性がある